著作: 岡山盲学校情報教育係
作成: 2001年度初版(2005年9月改訂、2008年10月改訂、2022年7月改訂)
※本テキストはWindowsXP、PC-TalkerXP、MYEDITⅡ Ver.4.15、MYMAILⅢ、Internet Explorer Ver.6.0という環境で説明しています。(2022年7月にMicrosoft Edgeの説明も追加しました。)

第1章 Windowsの基本操作

1 Windowsの起動と終了

(1)Windowsの特徴

 Windows(ウインドウズ)上でパソコンに何か仕事をさせようと思えば,一般的にはマウスで目的の項目をクリックして実行します。視覚障害者は,マウスの代りに矢印キーを用いてフォーカスを移動させ,エンターキーを押して実行します。
 MS-DOSの時代は,実行コマンドを覚えなければなりませんでしたが,Windowsではコマンドを全く知らなくてもメニューの中から選んでいけばよいわけですから,初心者にとっては使いやすいOS(オペレーティングシステム)だといえます。
 Windowsはwindow(窓)の集まりです。いろいろなアプリケーションソフトやフォルダなどのアイコン(絵)をダブルクリックすると新しいwindowが開きます。複数のwindowを同時に開くこともできます。これをマルチタスクといって,複数の仕事を平行して行うことができます。たとえば,ワープロソフトで文章を作成しながら,インターネットで音楽を聞くということもできます。

(2)Windowsの起動

 Windowsを起動するには,まず電源ボタンを押します。電源スイッチを入れてから音声が出るまでの間に,キーボードのキーを押したり,マウスを動かしたりしないように注意しましょう。
 電源を入れた後しばらくしてWindowsが立ち上がると,「ピーシートーカーを組み込みました」という音声が聞こえます。これでキーボードからの操作を受け付ける状態になりました。

(3)Windowsの終了

 ウインドウズキーでスタートメニューを開いて下さい。上矢印キーを押すと「Windowsの終了」があります。ここでエンターキーを押すと,Windowsの終了ウインドウが出てきます。右矢印キーを押して「電源を切る」に合わせ,エンターキーを押せばWindowsが終了して電源が自動的に切れます。

2 メニューの操作

(1)メニューの構造

 WindowsではMS-DOS時代のコマンド(命令文)の代わりに,メニューから目的のソフトやコマンドを選んで実行するということは最初に説明しました。このメニューは階層構造となっており,トップメニューの中にサブメニューが隠されています。音声で最後に「メニュー」というところにはサブメニューがあります。これはふつう2~3段階の階層に分かれています。

(2)スタートメニュー

 ウインドウズキーを押してスタートメニューを開いて下さい。このスタートメニューの使い方は簡単です。ここで上下矢印キーを押して,目的の項目を選びます。そして,そこでエンターキーを押せば,そのソフトを起動することができます。
それでは,「プログラム」メニューを開いてみて下さい。右矢印キーでサブメニューを開くことができます。サブメニューの中では,同じように上下矢印キーで移動してみて下さい。色々なソフトの名前があります。何かアプリケーションソフトをインストールした場合,通常はここに登録されます。
 メニューを選択してサブメニューに入っていくのが右矢印キーで,逆に一つ上の階層に戻るのはエスケープキーです。まちがったサブメニューを開いてしまった場合は,エスケープキーを押せばスタートメニューに戻ります。

(3)メニューバー

 メニューバーは,アプリケーションソフトのウインドウの上側に,「ファイル,編集,…」のように左から右へと並んでいます。どのアプリケーションソフトでもだいたい同じメニューが並んでいます。このメニューバーは,オルトキーを押して開きます。するとまずいちばん左にある「ファイル」メニューが開きます。続いて右矢印キーを押していくと,順番に「編集,表示,挿入,書式…」というようにトップメニュー(メニューの大見出し)を読み上げます。行きすぎた時には左矢印キーで元に戻します。
 目的のトップメニューのところで下矢印キーを押すと,サブメニューが開きます。たとえば,「ファイル」メニューの下には「新規作成,開く,上書き保存,名前を付けて保存」という項目が並んでいます。目的のところにきたらエンターキーを押せばそのコマンド(命令)を実行します。
 間違ったサブメニューを開いてしまった場合は,エスケープキーを押せばひとつ前の段階に戻ることができます。サブメニューを開いた状態では,トップメニューに戻ることができます。そこで左右の矢印キーを押せば他のトップメニューに移動することができます。トップメニューを選択している状態でエスケープキーを押せば,ワープロなら文字入力待ちの状態に戻ります。
 もしどの位置にいるかがわからなくなったら,とにかくエスケープキーを2回押してください。そうすれば最初の状態に戻ることができますので,そこからまたオルトキーを押してやり直せばいいのです。

3 アクティブウインドウの切り替え

 キーボードによる操作を受け付ける状態になっているウインドウを「アクティブウインドウ」と言います。つまり,今使っているソフトや開いているフォルダのことです。
 複数のソフトを起動している場合に,アクティブウインドウを切り替えたい場合はオルトキーを押したままの状態でタブキーを押していきます。すると,現在起動中のソフトや開いているフォルダが順番に読み上げられます。目的のソフトの名前を読み上げたら,そこでオルトキーから指を離します。そうすれば,そのソフトがアクティブになります。
 キーを押しているのに操作を受け付けなくなってしまうことがあります。これにはいくつかの理由が考えられますが,ひとつにはそのソフトがアクティブになっていないことが考えられます。その場合はオルトキーを押したままタブキーを押して,操作したいソフトのところでオルトキーから指を離せばよいです。これで操作を受け付けるようになります。
 なお,現在アクティブになっているウインドウの名前を確認するには,コントロールキーとオルトキーと「1」のキーを同時に押します。また,現在開いているすべてのウインドウの名前を確認するにはコントロールキーとオルトキーと「2」のキーを同時に押します。不要なウインドウを閉じたい場合は,そのウインドウがアクティブになっている状態で,オルトキーとF4キーを同時に押します。

4 パソコンが動かなくなってしまった時

 Windowsで頻繁に起こるトラブルにフリーズがあります。フリーズとは「凍り付いた」という意味で,Windowsがマウスやキーボードによる一切の操作を受け付けなくなった状態です。
 この問題を解決するためには,コントロールとオルトとデリートキーを同時に押します。これでフリーズしているアプリケーションを強制的に終了させると,正常な状態に戻る場合があります。うまくいかないときはコントロールとオルトとデリートキーを数回押してコンピュータを再起動してみます。
 コントロールとオルトとデリートキーを押して再起動することもできない場合は,ハードディスクのアクセス音がないことを確認した上で,電源ボタンをしばらく(3秒以上)押し続けます。これで強制的に電源を切ることができます。そして,電源が切れたら10秒ほど間をおいて電源を入れ直します。そうすれば,「スキャンディスク」というソフトがエラーチェックをした後,しばらくするとWindowsが起動します。しかし,電源ボタンを押して電源を切ることは,あくまでもフリーズした時の最終手段なので,ふだんはやってはいけないことです。

第2章 文字入力と文書作成

 本章では墨字文書の編集と印刷,そしてファイル管理について学びます。マイエディットという視覚障害者用のテキストエディタを使用します。このソフトはWindowsXPの音声化ソフトであるPC-TalkerXP(高知システム開発)を購入すれば付属しているものです。

1 日本語入力

(1)6点入力とフルキー入力

 日本語つまり漢字仮名交じり文を入力するには,6点入力(点字方式による入力)とフルキー入力の2通りがあります。
 6点入力は点字タイプライターで点字を打つようにキーボードを押さえる入力方式です。ですから,既に点字を学習して使われている方に適した入力方法といえます。
 フルキー入力はほとんどのキーを使って入力するもので,ローマ字入力,かな入力というふたつの入力方式があります。ローマ字入力では,たとえば「は」を入力するのにアルファベットの「H」のキーと「A」のキーを続けて押します。このようにローマ字入力ではキーを押さえる回数は多いですが,押さえるキーの種類が少ないので,かな入力よりも早く覚えることが可能ですし,慣れるとかな入力よりも速く入力することができます。

(2)日本語入力ソフトの起動

 日本語(漢字仮名交じり文)の入力を可能にするソフトをFEP(日本語入力処理システム)と言います。代表的なFEPにはATOK(エイトック)とMS-IMEのふたつがあります。今回の講習では,MS-IMEを使用します。
 それでは,日本語入力ソフトを起動してみましょう。「半角/全角」キーを押すとMS-IMEが起動し,もう一度押すとMS-IMEが終了します。日本語入力ソフトが起動していない状態では漢字仮名交じり文は入力できず,半角英数文字が入力されます。

(3)6点入力ソフトの起動

 6点入力を可能にするソフトは,KTOS(ケートス)と言います。このソフトもマイエディットと同じようにPC-Talkerに付属しているソフトです。6点入力をするためには,KTOSを起動しておく必要があります。PC-Talkerをインストールした初期状態では,Windowsの起動時にKTOSも起動するようになっています。なお、パソコンによっては、KTOSをインストールしても6点入力ができない機種もあります。パソコンを購入する際にはご注意ください。

2 マイエディットによる墨字文書の作成

(1)マイエディットの起動

 まずWindowsキーを押してスタートメニューを開きます。次に上矢印キーまたは下矢印キーを数回押して「マイエディット」という音声が聞こえるところまで移動してエンターキーを押します。そして「新規」という音声が聞こえたらマイエディットが起動し,文書を書く準備ができます。

(2)6点入力による文章の作成

 先ほど説明したように,点字を少しでもご存じの方には6点入力は大変便利な入力方式です。6点入力(アポロキー)で使うキーと指の関係,それらのキーの周囲にあるキーの機能についてまとめておきます。なお、このテキストではフルキー(ローマ字)入力の方法については説明していませんので、ご了承ください。
 スペースキーなどがある一番手前の段を1段目とします。3段目の中央付近に突起などがあるキーがあります(パソコンの機種によっては突起がない場合もあります)。このふたつのキーに左右の人差し指を置き,それぞれの横に中指・薬指・小指を並べて置きます。その状態で,左手の人差し指・中指・薬指が1の点・2の点・3の点に対応し,右手の人差し指・中指・薬指が4の点・5の点・6の点に対応しています。
 次に,「1の点」~「6の点」の位置を基準にして,その周囲にあるキーの機能を簡単に説明します。ケートスでは,六つのキーからできるだけ指を離さずに,いろいろなキー操作ができるように工夫されています。例えば,4の点の左(H)のキーを押すと,「日本語変換」と「変換停止」の切り替えができます。また,6の点の右(;)のキーはエンターキーの役割を果たします。
 それでは,6点入力により文章を作成してみましょう。まず,「4の点の左」を押して「日本語変換」にします。そして次の文章を入力してみましょう。
 「わたしは/きょう/おかやま/もうがっこうに/きました。」
 文章をいっぺんに入力して変換する方法もありますが,最初のうちは文節ごとに区切って入力する方が確実で間違いが少ないです。文節とは文章の区切りのことで,点字でマス開けする部分です。「私は」というように助詞まで含んだ部分が文節になります。
 まず「わたしは」と入力しましょう。ここで注意しなければならないのは,入力方式は点字ですが,作成しているのは墨字の文章ですから,点字の表記法ではなく墨字の表記法に従って入力しなければならないということです。つまり,「私は」と書きたいときには「わたしわ」(わゐうゑをの「わ」)ではなく「わたしは」(はひふへほの「は」)と入力しなければなりません。
 「わたしは」と入力できたら,キーボードの再下段にある少し幅の広いスペースキーを親指で押してみましょう。「私は」という漢字仮名交じり文に変換します。漢字の部分は「シリツのシ」というように説明がつきます。もし,正しい漢字がすぐに出ない場合は,さらにスペースキーを押していくと別の漢字が出てきます。正しい漢字が出たところで次の文字を入力します。そうすると自動的に前の漢字は確定されます。
 ここで,「わたし」だけ入力して漢字に変換して,次に「は」と入力して変換すると「は」を助詞と認識せず漢字に変換してしまうので,必ず「わたしは」と文節で区切って入力しましょう。
 では,続いて「きょう/おかやま/もうがっこうに/きました」と文節毎に入力して変換してみましょう。先ほど述べたように墨字の表記法に従って入力することに注意して下さい。(点字では「もーがっこー」と入力します。)
 最後に句点(。)を入力しましょう。「2・5・6」の点を押してからスペースキーを押せば「まる」と言います。その後エンターキーを押して確定しましょう。なお,読点(,)を入力するには,「5・6」の点を押してからスペースキーを押すと「てん」と言います。その後エンターキーを押して確定しましょう。句読点を点字で入力した時には音声では何も言わず,スペースキーを押せば「まる」とか「てん」と言うので注意しましょう。

3 正しく日本語変換をするコツ

(1)エンターキーとスペースキーの使い方

 エンターキーは文字を確定したり改行したりする場合に使うキーです。もし平仮名にしたい場合は,文字を入力してすぐにエンターキーを押せば平仮名のまま確定されます。6点入力では6の点の右のキー,つまり右手小指のキーを押すとエンターキーの代わりになります。
 また,段落を変えたい場合にはその前の文章の末尾をエンターキーで確定した後,もう1回エンターキーを押せば改行されます。そこでスペースキーを押せば1マスあいて2マス目から文字を入力することができます。スペースキーは漢字変換の他にもこのようにマス開けをする時にも使います。

(2)一括入力と文節変換

 まず「私は初めてパソコンを使いました。」という文章を入力してみましょう。最初に練習したように文節で区切るのではなく,句点のあるところまで文章を一括して入力してみて下さい。入力できたら,スペースキーを押します。すると,まず「私は」のところまで漢字に変換されます。もし間違った漢字が出ていたら,さらにスペースキーを押すと次々に漢字候補が出てきます。正しい漢字が出てきたら右矢印キーを押します。すると「私は」までの1文節の漢字が確定し,次の文節の漢字が変換されます。つまり右矢印キーを押せば文節ごとに変換していくわけです。
 また,文節の区切りは日本語入力ソフト(MS-IME)がほとんど正しく認識しますが,判断がつきにくい文章の場合に間違って文節を区切ることがあります。その場合は,漢字を確定する前に左右の矢印キーを押せば文節を縮めたり伸ばしたりすることができます。
 なお,同音異義語の場合には一括入力した方が正しく変換します。例えば「橋を渡る」と「箸を使う」と入力してみて下さい。きちんと文脈から判断して正しい漢字に変換されると思います。

(3)カタカナ変換

 先ほど入力した「パソコン」などの一般的に使われるカタカナ言葉はスペースキーを押せば自動的にカタカナに変換されますが,特殊なカタカナ言葉の場合は,F7キーを押すことによって強制的にカタカナに変換することができます。例えば,「こんにちは」と入力して,それをカタカナに変換してみましょう。音声ガイドでは平仮名よりも低い声になります。

(4)アルファベット変換

 アルファベット文字を入力するには、まず「半角/全角」キーを押して日本語変換をオフにした後、6点入力で「2・3・6」の点を押してアルファベットモードにしてから入力します。大文字のアルファベットを入力したい場合には、「6」の点を押してから入力します。音声ガイドでは大文字は低い声で,小文字は高い声になります。漢字かなモードに戻すには「3・5・6」の点を押した後、「半角/全角」キーを押して日本語変換をオンにします。

(5)数字の入力

 数字を入力するには,キーボードの右端にある「テンキー」と呼ばれるところを使います。テンキーは数字入力のためのキーで,数字の並び方は電卓と同じです。この時,半角数字にしたい場合は,アルファベットと同様に数字を入力した後でF10キーを押します。

(6)文字の削除

 間違った文字を入力してしまった場合に文字を消すことを「削除」と言います。文字の削除には、デリートキーまたはバックスペースキーを使います。デリートキーはカーソルがある文字(つまり読み上げ中の文字)を削除します。バックスペースキーはカーソルがある文字のひとつ前の文字を削除します。

4 文書の印刷

 プリンタの電源を入れてA4用紙をセットしておきます。オルトキーを押して「ファイル F トップメニュー」に移動し,下矢印キーで「印刷」に移動します。ここでエンターキーを押すと印刷のメニューが開きます。
 まず「印刷部数」を設定します。1部ならそのままでいいですし、2部以上なら数字を書き換えます。次のタブキーを3回押して「高度な設定」というとこまで移動しエンターキーを押します。いろいろな設定項目がありますが、ここでは省略します。ただひとつ「印刷フォントサイズ」は特に弱視の方は、自分が読みやすいフォントサイズに変更してください。フォントサイズは右矢印キーで大きくなり、左矢印キーで小さくなります。標準サイズは10.5ポイントですが、弱視の方でしたら16ポイントから24ポイントくらいに設定するとよいでしょう。ただし、あまりフォントサイズを大きくしすぎると、印刷枚数が多くなるので注意してください。
 フォントサイズを決定したらタブキーを1回押して「設定」というところに移動してエンターキーを押します。さらにタブキーを1回押して「実行」というところに移動してエンターキーを押せば印刷が実行されます。

5 文書の保存

 オルトキーを押して「ファイル F トップメニュー」に移動し,下矢印キーを押して「名前を付けて保存」に移動します。ここでエンターキーを押すと保存のウインドウが開きます。「ファイル名の文字入力 無題1」という音声が聞こえますが,そのまま適当なファイル名を入力します。このとき日本語変換がオフになっているので、「半角/全角」キーを押して日本語変換をオンにしてから入力してください。次にTABキーを押して,保存するドライブやフォルダを選択するのですが、初期設定ではマイドキュメントというフォルダに保存されるようになっていますから、ファイル名を入力したらそのままエンターキーを押してもいいです。

6 マイエディットの終了

 オルトキーを押してファイルメニューを開くと,「ファイル F トップメニュー」という音声が聞こえます。上または下矢印キーを数回押して「終了」と聞こえるところまで移動してエンターキーを押すと終了します。もし,文章の内容を変更していれば,「マイエディットの警告メッセージ 無題への変更を保存しますか?」という音声が聞こえます。その場合は,エンターキーを押して保存して終了します。

7 ファイル管理

(1)ファイル,ドライブ,フォルダの概念

 コンピュータで作成したさまざまなデータ(文章,画像,音楽など)はすべて「ファイル」というひとつのまとまりとして保存されます。ファイル名の後ろには半角英数文字で「拡張子」というものが付いていますが,これはファイルの形式を表しています。たとえばマイエディットで作成した文書ファイルは「txt」という拡張子が付いていますが,これはこのファイルがテキスト形式であることを示すものです。
 ファイルを保存する場所には,フロッピーディスク,ハードディスク,CD-Rなどがありますが,これらをドライブといいます。それぞれアルファベットを付けて,フロッピーディスクは「Aドライブ」,ハードディスクは「Cドライブ」や「Dドライブ」といいます。ドライブはファイルを保存するための大きな箱と考えてください。
 フォルダはドライブという大きな箱の中にある小さな整理箱です。たくさんのファイルがあると目的のファイルを探すのに不便です。そこで,書類を整理するようにドライブの中にフォルダを作り,その中にファイルを分類して保存するのです。フォルダはいくつでも作ることができますし,フォルダの中にさらにフォルダを作ることもできます。メニューの構成と同じように,ドライブやフォルダも階層構造となっています。

(2)ファイル管理の方法

(a)マイドキュメントを開く

 マイエディットで作成したテキストファイルを見つけてみましょう。マイドキュメントというフォルダに保存してありますから,まずそれを開きます。
 ウインドウズキーを押してスタートメニューを開きます。上矢印キーまたは下矢印キーを数回押して「マイドキュメント」というところまで移動しエンターキーを押します。これでマイドキュメントのウインドウが開きます。
 ここで上下矢印キーを動かすことにより,順にフォルダやファイルを選択することができます。フォルダやファイルを開くにはエンターキーを用います。新しいフォルダを開いたらスペースキーを押します。するとファイル一覧の最も上にあるファイルまたはフォルダの名前を読み上げます。それから下矢印キーで移動すればファイルを確認できます。

(b)フォルダを作成して,ファイルを整理する

 ファイルがだんだんと増えてくると,目的のファイルを探し出すのが不便になってきます。そこで,フォルダという整理箱をつくって,たくさんのファイルを整理すると便利です。
 まずフォルダを作りたいドライブまたはフォルダを開きます。ここではマイドキュメントを開きましょう。そしてオルトキーで「ファイル」メニューを開き,下矢印キーで「新規作成」に移動し、右矢印キーで「フォルダ」を選択します。そしてフォルダの名前を入力して,エンターキーで決定します。ここで漢字の名前にする場合は,名前を入力する前に日本語変換をオンにしておきます。
 いくつかのフォルダを作成したら,それぞれのフォルダに先ほどの要領で,ファイルを移動したりコピーしたりしましょう。これでファイルを見つけやすくなりました。

(c)ファイルを削除する

 ファイルやフォルダの削除は目的のファイル名に矢印キーで移動しデリートキーを押すと「ファイル(フォルダ)の削除の確認」と言います。ここでエンターキーを押すと削除されます。中断する場合はエスケープキーを押します。ただし,削除したといっても,まだハードディスク内のごみ箱というところに移動しただけですから,完全に削除したいときには,ごみ箱を空にしなければなりません。

8 テキストデータの音声化

 マイエディットなどエディタやワープロと呼ばれるソフトは文章を作成する以外にも,視覚障害者にとって便利な使い方ができます。それはテキストデータを音声で読み上げさせることです。
 それでは今回の講習会テキストをマイエディットで読んでみましょう。まずマイドキュメントを開きます。下矢印キーを押していくと,いくつかのファイル名が聞こえます。その中の「IT講習会テキスト(全盲)2008.txt」のところでエンターキーを押せば,マイエディットが起動してそのファイルが読み込まれます。(マイエディットを自動的に起動させるためには,マイエディットでテキストファイルの関連づけを設定する必要があります。)この状態ではカーソルは,文書の先頭,つまり1行目の1文字目にあります。
 左右の矢印キーでカーソルを移動すると1文字ごとに文字を読み上げます。上下の矢印キーでカーソルを移動すると1行ごとに読み上げていきます。オルトキーを押したままF10キーを押すと,カーソル位置から全文を読み上げます。読み上げをストップしたいときはエスケープキーを押します。またオルトキーを押したままF10キーを押せば再びその行から読み上げます。

第3章 メールの送受信

 本章からいよいよインターネットに挑戦です。インターネットの利用では電子メールの送受信と,ホームページの閲覧が主なものです。今回は,電子メールを送受信するためのソフト(メールソフト)であるMYMAILⅢ(マイメールスリー)の使い方を学びます。このソフトは高知システム開発が作ったもので,視覚障害者用のメールソフトとしては大変良くできています。

1 電子メールとは何か

 電子メール(E-mail)はインターネット上でやり取りする手紙のようなものです。住所にあたるものがメールアドレスです。メールアドレスを持っている人なら,世界中のだれにでもメールを低料金で送信することができます。
 AさんがBさんに電子メールを送信するとします。Aさんがメールを送信すると,相手のBさんが契約しているプロバイダ(インターネット接続業者)のメールサーバにAさんの送信したメールが保管されます。プロバイダのコンピュータの中にたくさんの私書箱があると考えて下さい。プロバイダは郵便局のようなものです。Bさんはメールを受信するために,そのメールサーバ(私書箱)にアクセスしてAさんのメールを受信します。私書箱を開けるのに鍵が必要なように,受信メールサーバにアクセスするためにはパスワードが必要です。
 電子メールは基本的にテキストデータの形式になっています。本文には文章を書くわけですが,音楽や写真のデータも添付ファイルとしてメールに添付して送ることができます。

2 MYMAILⅢを起動する

(1)パソコンの電源を入れてWindowsを起動します。
(2)F12キーを押してAOKMenuを起動します。またはWindowsキーを押してスタートメニューを開いてもいいです。
(3)上下矢印キーでMYMAILⅢを選択してEnterキーを押します。
(4)MYMAILⅢが起動し、ボックス選択画面にカーソルが移動します。
(5)ここで上下の矢印キーを押すとメニュー項目の移動ができます。送受信、新規メール作成、未開封メールというように移動できます。

3 メールを送信する

 ここでは、メールの作成の手順について説明します。
(1)起動したときの状態ではカーソルがボックス選択画面上にあります。
(2)下矢印キーを押して『新規メール作成』を選択しEnterキーを押します。
(3)メール作成画面が開き、『新規』と音声ガイドされて、新しいメールの本文を入力する状態になります。送りたいメールの文章を入力します。本文入力時には日本語変換が自動的にONになります。
(4)Tabキーを押します。『宛先』と音声ガイドされます。相手のメールアドレスを直接入れる方法と、F2キーを押してアドレス帳から入れる方法があります。受信したメールの返信機能を使うと、アドレスが自動的に入力されます。
(5)Tabキーを押します。『題名』と音声ガイドされます。
(6)メールの題名(タイトル)を入力します。ここではメールの内容が一言で分かるような言葉を入力するとよいでしょう。題名入力時には、日本語変換は自動的にONされます。
(7)Enterキーを押すと、『メール作成の終了 作成中のメールをどうしますか』という音声とともに確認画面が開きます。
(8)後でメールを送りたい場合はEnterキーを、すぐにメールを送りたい場合は下矢印キーを押して『直ちに送信します』を選択しEnterキーを、メールを修正したい場合はEscapeキーを押します。
※直ちに送信(メール作成後、「直ちに送信」を選択した場合)
 『送信します。保存しておいた送信メールがあればここで一緒に送信されますよろしいですか、エンターは はい Nはいいえ』と音声ガイドされるので、Enterキーを押します。すると送信されます。
※後で送信(「後で送信」を選択した場合)
   作成したメールは、いったん未送信ボックスという場所に格納され、ボックス選択画面に戻ります。未送信ボックスに格納されたメールを送信するには、ボックス選択画面から上下矢印キーで『送受信』を選択し、Enterキーを押します。これで送信できます。

4 メールを受信する

(1)MYMAILⅢを起動するとボックス選択画面が開きます。
(2)下矢印キーを押して『送受信』を選択し、Enterキーを押します。
(3)『送受信開始』と音声ガイドされ、しばらくすると、メールが届いていれば「メールが届きました」という女性の声がします。その後『新着1件を受信』と受信したメールの数が音声ガイドされます。これで受信が終了です。新着メールがない場合は「新着メールなし」と音声ガイドされます。
(4)下矢印キーで『受信ボックス』を選択し右矢印キー(またはEnterキー)を押すと、受け取ったメールを上下矢印キーで一件ごとに選択することができます。
(5)メールを選択し右矢印キーを押すと、受け取ったメールの内容を自動的に読み上げます。読み上げを中止したい場合は、読み上げ中に左矢印キーを押します。
(6)メールの内容読み上げ後、左矢印キー(またはEscapeキー)を押すと、ボックス選択画面に戻ります。

5 メールを削除する

 メールを削除するにはメール一覧でそのメールを選択し、ALTキーを押して下矢印キーで「このメールを削除」を選択してEnterキーを押します。またはDeleteキーを押し、続いてEnterキーを押してもよいです。削除の確認画面が出ますので、もう一度Enterキーを押すと削除が実行されます。

6 メールの返事を書く

 受け取ったメールに返信することができます。このときメールを送ってきた相手のメールアドレスが自動的に宛先に設定され、相手の書いた文章を確認しながらメールを作成することができます。
(1)ボックス選択画面で『受信ボックス』を選択し右矢印キー(またはEnterキー)を押した後、上下矢印キーでメールを選択し、Enterキーを押してメール参照画面を開きます。このときメールの本文を読み上げますが、Escapeキーを押せば読み上げを中止できます。
(2)Altキーを押して、メニューを選択します。『操作』と音声ガイドされます。
(3)下矢印キーを押して、『返事を書く』と音声ガイドされたら、Enterキーを押します。
(4)『返信 本文 1の1 だいなり』という音声とともにメール作成画面が開きます。このとき、受け取ったメールの本文には、行頭に「> 」がつきます。この行頭の「>」のことを引用マークと呼び、引用マークのついたメールの本文のことを引用文と呼びます。引用文は低い音声で読み上げます。引用文はできるだけ最小限にするのがマナーです。不要な引用文は削除しましょう。
(5)本文を入力し、Tabキーを押すと『宛先』という音声の後に、メールを送ってきた相手のメールアドレスを読み上げます。通常、返信する場合、宛先を修正する必要がないのでEnterキーを押します。
(6)『題名』という音声の後に、『Re: 』という音声ガイドと相手が設定した題名を読み上げます。「Re: 」は、相手に対して返信したことを表すので、そのままEnterキーを押します。
(7)『作成完了 後で送信しますか』という音声とともに確認画面が開きます。
(8)後でメールを送りたい場合はEnterキーを、すぐにメールを送りたい場合は、下矢印キーを押して『直ちに送信しますか』を選択しEnterキーを、メールを修正したい場合は、Escapeキーを押します。

7 アドレス帳に直接入力して登録する

(1)MYMAILⅢを起動し、ボックス選択画面からAltキーを押して、メニューを選択します。
(2)『操作』と音声ガイドされますので、↓を押して『アドレス帳』を選択し、Enterキーを押します。
(3)アドレス帳のアドレス一覧画面が開き、メールアドレスが1件も登録されていなければ、『アドレスが1件も登録されていません』と音声ガイドされます。
(4)メールアドレスを追加するには、ファンクション2のキー を押します。
(5)『追加入力 読みがな』と音声ガイドされ、アドレス追加画面が開きます。
(6)メールアドレスにつける名前の 読みがなを入力し、Tab キーを押します。
(7)『名前』と音声ガイドされます。メールアドレスにつける名前を入力し、Tabキーを押します。
(8)『メールアドレス』と音声ガイドされます。メールアドレスを入力し、Tabキーを押します。
※備考が1から3まであります。メールアドレスについての情報などを入力し、Enterキーを押します。もし何もなければ記入する必要はありません。
(9)『アドレスを追加しますか』という音声とともに、確認画面が開きます。Enterキーを押すと、メールアドレスが追加され、『追加しました』という音声ガイドとともに、アドレス一覧画面に戻ります。

8 受け取ったメールから相手のメールアドレスを登録する

(1)受信ボックスから上下矢印キーでメールを選択し、Enterキーを押してメール参照画面を開きます。
(2)Escapeキーを押して読み上げを中止した後、Altキーを押してメニューを選択します。『操作』と音声ガイドされます。
(3)下矢印キーを押して『差出人をアドレス帳に追加』と音声ガイドされたらEnterキーを押します。
(4)『アドレス帳 追加入力 読みがな』と音声ガイドされますので、読みがなを入力し、Tabキーを押します。
(5)『名前』と音声ガイドされます。メールから自動的に名前が入力されているのでTabキーを押します。
(6)『メールアドレス』と音声ガイドされます。メールから自動的にメールアドレスが入力されているので、Enterキーを押します。メールアドレスが追加され、『追加しました』という音声ガイドとともにメール参照画面に戻ります。

9 アドレス帳に登録したメールアドレスを使う

 アドレス帳に登録したメールアドレスは、メールを作成する時の宛先を入力する際に使用します。ここでは新規メール作成時に宛先をアドレス帳から入力する方法について説明します。
(1)宛先入力時にAltキーを押してメニューを選択します。『操作』と音声ガイドされます。
(2)下矢印キーを押して『アドレス帳から入力』と音声ガイドされたら、Enterキーを押します。
(3)アドレス帳のアドレス一覧画面が開き、登録されている最初のアドレスを読み上げます。
(4)上下矢印キーで入力するメールアドレスを選択し、Enterキーを押します。
(5)宛先にメールアドレスが入力され、メール作成画面に戻ります。
※宛先入力時にアドレス帳のアドレス一覧画面を開くには、メニューから選択する方法とファンクション2キーを押す方法があります。

10 メールにファイルを添付して送る

 MYMAILⅢでは、メールと一緒にファイルを送ったり、受け取ったりすることができます。このメールに添付されているファイルのことを「添付ファイル」と呼びます。メールにファイルを添付する方法について説明します。
(1)メール作成画面を開きます。
(2)ALTキーを押してメニューから上下矢印キーで『添付ファイル』を選びenterキー(または右矢印キー)を押し、『添付ファイルの挿入』と音声ガイドされたらenterキーで実行します。
(3)『ファイル名の文字入力』と音声ガイドされたら、添付ファイル名を入力するか、Tabキーを1回押してから上下矢印キーでマイドキュメント内のファイルを選択し、Enterキーを押します。
(4)ファイルを添付するかどうか確認画面が開きますので、添付する場合はEnterキーを、添付をやめる場合はEscapeキーを押します。
※返信時、下書きメール作成、修正時にもファイルを添付することができます。
※ファイルは何個でも添付することができます。
※大きなファイルを添付すると、メールの受け取りに時間がかかったり、メールを送れなかったりすることがあり、受け取る方が迷惑する場合があります。

11 受け取った添付ファイルを保存して開く

 メールにファイルが添付されていれば、そのファイルを保存したり、開いたりすることができます。
(1)メール選択画面で「添付ファイルあり」と音声ガイドされるメールを上下矢印キーで選び、Enterキーを押して参照します。
(2)Escapeキーを押して読み上げを中止した後、ALTキーを押してメニューを開き、上下矢印キーで『添付ファイルの保存』を選びEnterキーを押します。
(3)Tabキーで『保存する添付ファイル』か『添付ファイルを開く場合』を選択し、Enterキーを押します。ここでは『保存する添付ファイル』を選択します。(すぐに開くよりもマイドキュメントにいったん保存しておいた方が安全です。添付ファイルがウイルス感染している場合があるからです。)
(4)Tabキーを2回押して『現在のフォルダで決定』でエンターキーを押します。『保存終わり』と音声ガイドされたら、マイドキュメントに保存されています。
(5)マイドキュメントを開いて、上下矢印キーで保存した添付ファイルを選んでEnterキーを押して開きます。

12 MYMAILⅢを終了する

(1)MYMAILⅢを起動し、ボックス選択画面上でAltキーを押します。
(2)メニューを選択する状態になるので、上矢印キーで『マイメールの終了』を選択します。
(3)Enterキーを押すとMYMAILⅢが終了します。

13 MYMAILⅢのショートカット

音声スピード F7
音声ボリューム F11
画面拡大 F6
返事を書く Ctrl + R
添付ファイルを挿入する(保存する)  Ctrl + T
差出人をアドレス帳に追加 Ctrl + F2
連続メール読み Alt + F10
添付ファイル名 読み上げ Alt + F7
アドレス帳 F2
※F2は、メール一覧(メール選択)画面では、「会話メール」抽出モードと通常モードと切り替えになります。
<メール本文読み上げ中の操作>
次の段落に進む  Space
引用部分を読み飛ばす Tab

第4章 ホームページの閲覧

 本章ではホームページの閲覧の方法について学びます。ホームページ(ウェブページ)を検索したり閲覧したりするにはブラウザと呼ばれるソフトが必要です。今回は代表的なブラウザとして一般的に利用されているインターネット・エクスプローラを使います。これはWindowsに付属している無料のソフトで,Windowsパソコンであれば既にインストールされているものです。

1 ホームページとは何か

 ホームページはインターネットにつながっている世界中の無数のコンピュータ(ウェブサーバといいます)に保存されているファイルのことで,私たちはそれを契約しているプロバイダを経由して自由に閲覧することができます。
ホームページはHTMLというコンピュータ言語で作られており,それをパソコンの画面上に表示してくれるソフトがブラウザです。HTML形式のファイルと,今までの講習で皆さんがマイエディットなどで作成してきたテキスト形式のファイルとの違いは,HTML形式のファイルは他のファイルに「リンクを張る」ことができる点にあります。例えば岡山盲学校のホームページは「小学部」とか「高等部」とかのページが別々のファイルとして保存してあって,それらをお互いにリンクしてあります。音声ではリンクを張ってあるところは少し高い声になって「リンク」と言いますから,そこでエンターキーを押せば,リンクが張ってあるページを表示します。つまり,そのHTMLファイルを開くわけです。リンク先は同じコンピュータ内のファイルだけでなく,インターネット上にある世界中のどのファイルにも指定することができます。
 インターネットは世界中のコンピュータを専用回線や電話回線を使っていろいろな情報をやり取りするための仕組みです。専用回線や電話回線が網の目のようにつながって,地球を包み込むような形になります。ホームページからホームページへとつながった(リンクした)ありさまがクモの巣(Web)に似ているので,この仕組みのことをワールドワイドウェブ(略してWWW)と呼んでいます。
 インターネットは「情報の宝庫」です。「情報障害者」とも言われる視覚障害者にとってインターネットで得られる膨大な情報は貴重なものです。例えば,新聞を読むこともインターネットに接続すれば可能です。なお使用するソフトはインターネットエクスプローラーとPC-Talkerです。

2 インターネット・エクスプローラの起動

(1)ウインドウズキーを押してスタートメニューを開く。
(2)上矢印キーまたは下矢印キーを数回押して「すべてのプログラム」のところまで移動し、そこで右矢印キーまたはエンターキーを押す。
(3)サブメニューが開くので、上矢印キーまたは下矢印キーを数回押して「インターネット・エクスプローラ」のところまで移動しエンターキーを押す。
(4)しばらくするとインターネット・エクスプローラが起動する。

3ー1 ホームページの検索をする(IE)

 ホームページは,それぞれのウェブサーバとなっているコンピュータに保存されているファイルであることは最初に説明しましたが,それが保存されている世界中のコンピュータの中から目的の情報が載っているページを探すのは至難の業です。そこで,調べたい言葉(キーワード)を入れると瞬時に世界中のホームページの中から,そのキーワードを含むページを探し出してくれるサービスがあります。それがYahoo(ヤフー)やGoo(グー)などの「検索エンジン」(検索サイト)とよばれるホームページです。
 ホームページを探す時には,URL(ホームページのアドレスのこと)を覚えて,それを直接アドレス欄に入力するという方法はふつうは用いません。長ったらしいURLを記憶するのは面倒だからです。例えば「朝日新聞」のホームページが見たかったら,検索エンジンで「朝日新聞」というキーワードで検索すれば,すぐに見つかります。
 では,実際に検索エンジンを利用してみましょう。(なお,以下の説明はGoogleという検索エンジンのページを利用した場合のもので,Yahooなど他の検索エンジンを利用する場合はページの構成が違いますので注意して下さい。基本的な操作は同じです。)

(1)オルトキーを押したままホームキーを押して最初のページに戻る。(オルトキーで「表示」メニューを開き、下矢印キーで「移動」へ行き、右矢印キーでサブメニューを開いた後、下矢印キーで「ホームページ」を選んでエンターキーを押してもよい。)
(2)Google(グーグル)のページ(http://www.google.co.jp/)が表示されたら「文字入力」という音声が出る。(このページが表示されるのは,ブラウザでGoogleを最初のページに設定しているためです。他のページにすることも可能です。)
(3)オルトキーと「半角/全角」キーを押して日本語変換をオンにする。(6点入力の場合は,さらにケートスを起動してください。)
(4)検索したい言葉(キーワード)を入れる。(複数のキーワードを入れる場合には,言葉と言葉の間にスペースを入れてください。スペースとは1マス空けることです。)
(5)キーワードを入力したら,もう一度エンターキーを押す。
(6)検索結果が表示されるので,タブキーを10数回押すと検索されたホームページのタイトルをひとつ読み上げる。
(7)タイトルを読み上げたところでシフトキーを押すと,そのホームページの内容の冒頭部分を読み上げるが,「www」というところまで来たらエスケープキーで停止する。(この時にはまだそのページを開いてはいません。)
(8)そのホームページを見る場合にはエンターキーを押せばリンク先を開く。
※回線が込み合っていてページがなかなか表示されない場合があります。その場合はエスケープキーでページの読み込みを中止して下さい。また,そのページがすでに削除されている場合もあります。その場合は,「サーバーが見つかりません」あるいは「ページが見つかりません」と表示されますので,バックスペースキーで前のページに戻って下さい。
(9)目的の情報が見つからない場合は,バックスペースキー(またはオルトキーを押したまま左矢印キー)を押して検索結果のページに戻る。
(10)タブキーを2~3回押し「キャッシュ」「関連ページ」というところをとばして次のホームページのタイトルに移動する。
(11)あとは上の(7)~(9)の操作を繰り返す。

7ー2 ホームページの検索をする(Edge)

 ※IEのサポート終了に伴い、2022年7月にMicrosoft Edgeでの操作方法の説明を追加しました。

(1)Microsoft Edge(エッジ)を起動する。
(2)Google(グーグル)のページ(http://www.google.co.jp/)が表示されたら「検索の文字入力」という音声が出る。(このページが表示されるのは、ブラウザでGoogleを最初のページに設定しているためです。他のページにすることも可能です。)
(3)オルトキーと「半角/全角」キーを押して日本語変換をオンにする。(6点入力の場合は、さらにケートスを起動してください。)
(4)検索したい言葉(キーワード)を入れる。(複数のキーワードを入れる場合には、言葉と言葉の間にスペースを入れてください。スペースとは1マス空けることです。)
(5)キーワードを入力したら、もう一度エンターキーを押す。
(6)新しいページに移動し検索結果が表示される。タブキーを1回押すと「メインコンテンツにスキップ リンク」と読み上げたら、エンターキーを押す。
(7)検索結果の1番目のタイトルを読み上げる。目的のページでない場合はタブキーを押していくと、他の検索結果のページのタイトルも読み上げる。
(8)目的のホームページを見る場合にはリンク項目のところでエンターキーを押せばリンク先を開くことができる。
(9)目的の情報が見つからない場合は、オルトキーを押したまま左矢印キーを押して検索結果のページに戻る。
(10)あとは上の(7)~(9)の操作を繰り返す。

4 ホームページ検索のコツ

 例えば「野球」とだけ入力すると約665万件のページが検索対象として見つかります。これではなかなか目的の情報に辿り着くことはできません。そこで「阪神タイガース 打撃成績」とか「メジャーリーグ イチロー 打撃成績」とか複数のキーワード(必ず語句の間にスペースを入れて下さい)で検索すれば目的の情報を速く見つけることができます。

5 基本的なキーボード操作

 全文読み上げ シフトキー (エスケープキーを押せばストップする。)
 1文ずつ区切りながら読み上げ  コントロールキーを押したまま下矢印キー
 ひとつ前の文の読み上げ  コントロールキーを押したまま上矢印キー
 1文字ずつ区切りながら読み上げ  コントロールキーを押したまま右矢印キー
 ひとつ前の文字の読み上げ  コントロールキーを押したまま左矢印キー
※以上の4つのショートカットについては、PC-Talkerの設定→Webブラウザーの設定で「ダイレクト操作キーを使用する」にチェックするとコントロールキーを押さずに矢印キーだけでカーソル移動と読み上げができるようになります。
 リンク項目を移動する タブキー
 前のリンク項目に戻る シフトキーを押したままタブキー
 リンク先のページを開く リンク項目(高い声)のところでエンターキー
 とばして読む コントロールキーを押したままページダウンキー
 とばして前に戻る コントロールキーを押したままページアップキー
 タブの移動  コントロールキーを押したままタブキー
 新しいタブを開く  コントロールキーを押したままTのキー
 タブを閉じる  コントロールキーを押したままWのキー
 前のページに戻る オルトキーを押したまま左矢印キー
 次のページに進む オルトキーを押したまま右矢印キー
 最初のページに戻る オルトキーを押したままホームキー

6 ホームページを上手に読むコツ

 ホームページはテキストファイルのように単純に文章だけのページではありません。写真があったり広告があったりして音声では何のことかよくわからないことが多いです。写真に音声で説明が付くものもありますが,ほとんどは説明が付かず,ただ「画像」というだけです。また,新聞社のホームページなどではバナーとよばれる画像がたくさんあって音声では「http…」とリンク先のホームページのURLを読み上げますが,そういうリンクを開くと広告主の企業のホームページへジャンプします(これをバナー広告と言います)。そういうリンクはいちいち開かないようにしましょう。
 目的の情報(文章)に辿り着くまでもなかなか苦労します。いろいろなメニューがたくさんあって,肝心の本文はどれだろうということになります。晴眼者は画面が見えていますから,すぐに目的の文章を見つけて読むことができますが,音声に頼る全盲の人は最初から項目を聴いていかないと,どこに目的の文章があるのかわかりません。これは慣れるしかありませんが,コツとしては初めて訪れるページはまずシフトキーで全文読みをさせてページの構成を把握しておいてから,次にタブキーでリンク項目をどんどんたどっていくという方法がよいでしょう。コントロールキーを押したままページダウンキーを押していけば,いわゆる「とばし読み」もできますので,このキー操作を利用して目的の箇所が近づいたところでコントロールキーと下矢印キー,あるいはタブキーに切り替えるといいでしょう。
 最近のホームページは2つあるいは3つのフレームから構成されていることが多いです。フレームというのは,ホームページの画面をいくつかの部分に区切ってそれぞれが別々に表示するようにしたものです。目次のフレーム(画面左側)と本文のフレーム(画面右側)に分けて使いやすくデザインしたものが多いです。画面を見ながらマウスで操作する晴眼者にとっては,目次のフレームの中で目的のリンク項目をクリックしたら,本文のフレームがその内容に変わるという使い方ができます。本文のフレームをスクロール(縦に長いページを巻き上げるようにして表示させること)しても,目次のフレームが常に画面の一部に表示されているので便利なのです。ところが,全盲の人にとっては,今どのフレームに来ているのかがわからず,かえって読みにくくなっています。時にはフレームの中はすべてバナー広告ということもあり,その中でうろうろしても有益な情報にはたどり着けません。フレームの移動は,コントロールキーを押したままタブキーを押していくと順に移動できます。
 また,ホームページを作成している側の設定により,リンク先のページを開くと新しいウインドウが開く場合があります。(つまり,インターネット・エクスプローラがもうひとつ起動するわけです。)この場合は,バックスペースキーを押しても前のページに戻れないので,オルトキーを押したままF4キーを押して,新しく開いたウインドウを閉じます。時々、目的のホームページとは別のウインドウが開いていることがあります。その多くは広告であったり,メニューであったりするわけですが,その場合もオルトキーを押したままF4キーを押して,新しく開いたウインドウを閉じてしまいましょう。

7 「お気に入り」にホームページを登録する

 検索して見つけたホームページをまた見たいときには,「お気に入り」というところに登録しておけば,次回からは検索をやり直さなくても前に説明したように「お気に入り」からそれを選べばすぐに表示させることができます。その方法を学びましょう。
(1)登録したいホームページを表示させる。
(2)オルトキーを押した後,右矢印キーを3回押して「お気に入り」に移動した後,下矢印キーを1回押して「お気に入りに追加」を選ぶ。
(3)エンターキーを押すと「オフラインで使用する」というが,インターネットの環境が常時接続でない場合には,これを「チェックあり」に設定しておく(スペースキーでチェックのオンとオフを切り替えることができる。)
(4)タブキーを2回押して登録する名前を入力した後,エンターキーを押して文字を確定する。(名前はそのままでもよい。)
(5)タブキーを押すと登録される。

8 「お気に入り」に登録したホームページを閲覧する

(1)オルトキーを押した後,右矢印キーを3回押して「お気に入り」に移動する。(オルトキーを押したままアルファベットの「A」のキーを押してもよい)
(2)下矢印キーを数回押して閲覧したいホームページの名前のところでエンターキーを押す。
(3)しばらくすると選んだホームページが表示される。
(4)シフトキーを押せば全文を読み上げ,エスケープキーで読み上げを中止する。
(5)タブキーを押すとリンクが設定してある項目のところだけを移動していく。読みたいリンク項目でエンターキーを押せばリンク先のページが表示される。
(6)段落読みをさせるにはコントロールキーと下矢印キー(前に戻るには上矢印キー)を押す。
(7)前に表示したページに戻るにはオルトキーと左矢印キーを押す。

9 「お気に入り」に登録したホームページを削除する

(1)オルトキーを押した後,右矢印キーを3回押して「お気に入り」に移動する。
(2)下矢印キーを押して「お気に入りの整理」に移動し,エンターキーを押す。
(3)タブキーを5回押して,「お気に入りの整理のフォルダ選択」に移動する。
(4)下矢印キーを押していき,削除したいホームページのタイトルに移動する。
(5)デリートキーを押すと「ファイルの削除の確認のメッセージ」が表示されるのでエンターキーを押す。

終わり