ヒューマンガイドテクニックについて

視覚障害児者相談支援センターの取り組みの中で、寄宿舎を会場として県内にお住いの成人者を対象にした相談や情報提供を生活相談として行っています。相談支援の場では実生活に使われている便利グッズや、生活の工夫の方法なども紹介させていただいています。視機能低下による生活の困難を有している方やそのご家族、支援者の方々を対象に行っています。その取り組みの一環として「ふるさと新聞」は、視機能低下によって生活上の困難を有している方たちに、暮らしに役立つ情報を記事に、手作り新聞としてH22(2010)より年2~3回のペースで発行しています。過去に発行したものの一部ですが、これからホームページを通じて紹介をさせていただきます。まずは「ヒューマンガイドテクニック」についての記事をシリーズにし、掲載させていただきます。家族、友人、知人だけでなく、多くの方にこのガイド法を知っていただくことは、視覚に障害のある人たちが、安心して外出を楽しめる地域や社会の環境を整えていくことにつながると考えています。できる限り多くの方に、ガイド法をお伝えしていくことが大切だと思っています。

 

ヒューマンガイドテクニック 1
「ヒューマンガイドテクニックについて」
視覚に障害がある人の歩行技術の一つにヒューマンガイドテクニック(以下ガイド法)があります。このガイド法は、半歩前を歩くガイド者からの視覚情報を歩行者(視覚障害児者)が、積極的に活用して安全な歩行を実現するために考案された技術です。ですから、視覚に障害のある人が主人公になった歩行技術であり、介護の方法とは異なっています。
社会ではまだまだガイド法が正しく理解されていません。白杖を急に引っ張られたり、必要以上にお世話をしてもらったり、背中から押されたりして、怖い思いや悔しい思いをした人の話を聞くことがあります。同時に、親切心で関わった人たちに断ることも出来ず、どうしたら良かったのかと思案してしまう人の話も聞くことがあります。

視覚に障害のある人は、歩行指導(訓練)のなかでヒューマンガイドテクニックを学び、ガイド法を歩行技術として生かせるようになります。習熟が進むと、ガイド法を全く知らない一般の人とも安全性を確保しながら歩く技術も獲得できます。そのためには、専門家の継続的な指導(訓練)が必要になります。
また、ガイド者にとっては、講習会や研修会などの機会に正しいガイド法を学び身に付けると、歩行訓練を受けていない視覚に障害がある人の歩行を、より安全に安心した状態にできる技術を身に付けることになります。同時に、歩行者の能動性や外出の楽しさを提供することにもつながるのです。