平成29年度 岡山盲学校公開講座「わくわく体験盲学校」

平成29年度 岡山盲学校公開講座「わくわく体験盲学校」

8月23日(水)、「わくわく体験盲学校」を開催しました。希望の講座を選択して参加していただく形式での2年目の開催でした。午前から午後まで最大3つの講座に参加された方、興味のある講座だけ参加された方、それぞれのスタイルで盲学校や視覚障害教育について知っていただけたのではないかと思います。
それぞれの講座の内容と様子をご紹介します。

講座1  ワークショップ「視覚障害の世界」
視覚に障害のある当事者やそのご家族をはじめ、教育や福祉の関係の方など、様々な立場の21名の方々が、視覚障害の世界についての興味、関心を持って参加してくださいました。当日は、ヒューマンガイドテクニックの導入部分から、視覚障害の世界とはどんな世界なのかを、疑似体験を通して考えていきました。

【 挨拶・会話 】
コミュニケーションの第一歩として、まずはアイマスクをして、挨拶や会話のやり取りをしました。視覚情報を遮断した状態で様々な状況を設定し、相手の発言がどう感じるかなど試しました。

【 ガイド歩行 】
挨拶や会話のあとは、ヒューマンガイドテクニックを使ってのガイド歩行をしてみました。もちろん見えない状態で歩くので、「怖い」といった感想がたくさん出ましたが、一方で、「状況を教えてもらえると安心する」といった感想もあり、視覚障害のある人の歩行の状態を疑似体験することで、その心情を考える場面もありました。

研修後の参加者アンケートでは、「どの情報をどのように伝えると安心するのか、ガイドとしての立ち位置はどうかなど、目の不自由な方のことを考えて体験できた。」 「視覚に不自由がある人だけの支援ではなく、すべての基本は相手の人の気持ちに寄り添えるか… 相手の立場に立つことが大事だと実感した。これから白杖を持っている人にも声掛けできる自分になりたい。」など、それぞれの方が支援・介助する際に大切なことに気付かれたようでした。

講座2・講座5(同じ内容です) 学校紹介「理療科のとびら」
視覚障害者が職業自立するために、あん摩マッサージ指圧師や、はり師・きゅう師の資格取得を目指すコース。それが盲学校の「理療科」です。そんな理療科について多くの方に知っていただくために、「理療科のとびら」という講座を行いました。

午前と午後の2回同じ内容の講座を行い、来年度に入学を希望する方、建築士会の方など10名が参加されました。
まずは本校理療科職員によるあん摩施術体験です。30分という短い時間でしたが、体も心もほぐれ、心地よいひとときとなったようです。
あん摩でリラックスした後は、理療科の概要説明です。学習内容、学校での生活、卒業後の進路などを、資料を基に説明しました。実際の理療科での授業のように、参加された方に音読してもらいながら説明を行いました。
続いて、理療科3年生の生の声を聞く時間です。理療科入学の経緯、理療科での生活の中で良かったことやたいへんだったこと、今後のビジョンについて、4名の3年生に語ってもらいました。「同じ境遇の仲間と学校生活を送る中で、前向きになることができた」 「グランドソフトボールで全国大会に行けたことが思い出になっている」 「勉強はたいへんだけど、患者に喜んでもらえることが嬉しい」など、生徒達は日頃感じていることを率直に語ってくれました。
参加された方からは、「あんまをしてもらいながら、先生と話ができてよかった。」 「生徒達がすごく前向きに夢をもってがんばっていて、涙が出そうだった。」 「自分が見えなくなって、つらいことが多いが、ここでがんばっている方に勇気をもらった。」など、多くの感想をいただきました。

講座3 学校紹介「盲学校探検ツアー」
他講座の合間での見学ツアーということもあり、定員を上回る24名の方が参加され、3つのグループに分かれて1時間の校内見学をしました。

視覚障害者用品や便利グッズを展示してある部屋では、拡大教科書や黒地に白文字の定規などの学習用品、触って読み取れる時計など、見えやすく工夫されたり、視覚に頼らず利用できたりする用品を手にとってご覧いただきました。子どもさんの相談支援の部屋では、音を聞いたり触ったりして楽しめるおもちゃや学習用品、遠くを見るための片眼用望遠鏡やルーペといった視覚補助具などを試していただきました。理科室では、色の違いを音に換えて知らせる感光器や、動物のはく製、植物の模型などを、理療の学科を学習する特別教室では、人体の構造を学習するための模型などを、図書室では、点字や拡大の図書、音声ガイドを聞きながらパソコンを操作する様子などを見学されました。
急ぎ足での見学ではありましたが、「いろいろな工夫されたグッズが見られてよかった。」 「興味はあったが、はじめて見学できて参考になった。」といった感想をいただきました。

講座4 ワークショップ「わくわく点字」

小学生、高校生、保護者、学校関係者など24名が参加してくださいました。点字の歴史や50音について学習した後、点字のなぞなぞカードを読んで答えを考えたり、小型点字器を使って名刺を作ったりしました。点字ユーザーの本校職員に指先で読んでもらい正しく点字がうてた時は、皆さんうれしそうな表情を浮かべられていました。参加者からは、「点字を打つのは難しかったけど、楽しかった。達成感が大きかった。」 「点字のイメージが変わって、盲学校に親しみがわいた。」 「世の中にもっと点字が広がればいいなと思った。」といった感想をいただきました。